災害の時の暮らしを細やかに想像しよう。

 

 

9月1日頃は、立春から数えて二百十日目。稲穂が実り、いよいよ収穫を迎える期ですが、台風が上陸しやすい時期でもあるため、昔から災害に注意が必要な厄日でもありました。

そんな厄日とされる、二百十日の9月1日に関東大震災が起こり、現在では「防災の日」として制定されていますね。偶然とはいえ、その符合がつきすぎることに、私は不思議に感じてしまいます。

今年の上半期においても、西日本で大雨の被害や大阪での震災など、自然の猛威に見舞われましたね。あまりにも立て続けに起こる災害の多さゆえに、私はより一層、災害を自分ごととして捉えるようになりました。

 

まずは、情報を補おう

 

すでに、非常用持ち出し袋の準備や備蓄はしている。けれども私はなぜか、災害について準備万端という気持ちを持ち切れずにいました。

なぜ、すっきりした気持ちを持てないのか?と辿っていくと、被災後のイメージがなんだかぼんやりとしか考えられないことに起因しているのではないかと考えたのです。しかし、よく考えれば被災したことがないのですから、わからなくて当然ですよね。

そこで、「災害が起こった後の暮らしを知りたい」と考えてコミックエッセイの『防災ママに学ぶ ちいさな防災のアイデア40』を手に取ったのです。

 

 

こちらの本は、東日本大震災で被災されたイラストレーターのアベナオミさんが、被災後の暮らしの体験談を中心に、防災に役立つことをご紹介されている一冊です。

コミックエッセイのためとても読みやすく、通勤途中の疲れた頭でもしっかり理解できます。とはいえ、内容が薄いというわけでは決してありません。ママのためとありますが、ママに限らず独身者や男性にもおすすめできる内容です。

 

防災力を上げる近道は、想像力を上げることである

 

私は今まで、地震が起きたら、非常用持ち出しリュックを背負って、最寄りの避難所に行く。そうしたら、なんとかなるかなぁ?などと悠長に考えていました。行政の指針で1週間分の備蓄をしなさいとあるから、それ相応の準備はするか、と。

しかし、その想定はとても漠然としていた…というのが、本を読んで理解できたのです。

そもそも、近所に数ある避難場所の中から、どこに避難するのかも、災害の特性によって決めなくてはなりません。東日本大震災の事例でいえば、海側に逃げたら命の危険がありました。けれども、被災直後は情報が不足しているため、海側に避難した方が残念ながら多くいらっしゃったそうです。

また、食料品店が機能し始めたのが2週間後、上下水動が復旧したのが1ヶ月後であったというのを伺って、備蓄は果たして1週間分でいいのだろうか?と疑問に感じ、私は備蓄の量を少し増やしました。

「避難場所の情報は知っているから平気」「行政が1週間の備蓄を推奨しているから、その分を用意しておけば安心」ということではなく、被災時の様子をありありと想像することで、私は災害への備えを主体的に取り組むことができるようになったと思います。

防災ハウツーやチェックリストを参考にするのも、もちろんいいと思うのですが、それ以上に、被災後の行動や暮らしをリアルに想像することができるようになる方が、実は自分の防災力を本質的に上げる有益な手立てなのかもしれません。

二百十日という災害が多いと言われているこの時期。地震を含め、有事の準備や見直しのきっかけにしてみませんか。

 

季節のお便り

 

【処暑】

夏が暮れていき、暑さが収まるころ。暑さが再び現れても、もう真夏のカンカン照りの日々とは異なり、心なしか秋の切なさを感じさせる気候へと移り変わって行きます。

【綿柎開(わたのはなしべひらく)】

綿の花の後にできる実が弾けると、白い綿花が顔を出します。次の綿花を育むための種が、ふわふわした綿によって守られています。私たちの暮らしの隅々で役に立っている綿。直接肌に触れるものから、より上質なものへと切り替えていきませんか。

【天地始粛(てんちはじめてさむし)】

天(空)と地(大地)も、その間の存在も、すべてが心を引き締めて、正しきカタチへと整える時期。新学期が始まる時期とも重なりますので、自分の気持ちを新たに粛していくきっかけにしてみませんか。

【禾乃登(こくものすなわちみのる)】

美しい新緑の緑から、稲穂が実を結ぶにしたがって、田んぼが黄金色に輝いていきます。一方で、台風が日本列島で猛威を振るう時期でもあります。実りを無事に迎えるために、嵐に遭遇しても大事なく乗り越えられますように。

 

参考文献

『七十二候で楽しむ日本の暮らし』広田千悦子 角川ソフィア文庫/『二十四節気と七十二候の季節手帖』山下景子 成美堂出版/『七十二候のゆうるり歳時記手帖』森乃おと 雷鳥社/『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子 光文社知恵の森文庫/「被災ママに学ぶ ちいさな防災アイディア」アベナオミ 学研プラス