日照時間が変化していく「立秋」。季節とからだのリズムを同期させよう。

 

「秋の気配が感じられ始める頃」というのが立秋(8月7日)ですが、「秋の気配? 夏真っ盛りではないか」と思われる方も多いのではないでしょうか。

気温が最も高いこの時期ですが、暦の上では「秋」へと時は進んでいきます。

実は、季節の区分は日本と西洋とでは異なります。日本は立秋から秋になる一方、西洋では秋分からが秋の始まり。その違いの理由は、日本が日照時間を“起点”として季節を区分するのに対し、西洋では日照時間の“結果”、生じる気温の変化に合わせて季節を定めているからです。

『ひらがな暦』おーなり由子 新潮社 p423の図と文章を元に著者作成

 

9月23日が秋分の日であることを考えると、気温の変化に合わせた西洋の季節区分の方が実情に合っているようにも思えますよね。

しかし、私たちの体の奥深くにある体内時計は「気温」ではなく「日照時間」によって、敏感に体を調整しているのです。

 

生命のリズムの起源

 

春夏秋冬を捉える時計の他にも、30日、24時間(1日)、12時間単位など、からだはいろいろなリズムを同時に、かつ多重的に奏でています。

今のあなたのからだの音は、どのような音を奏でていますか。

 

このリズムは、人間だけが持っているものでしょうか?実は、バクテリアをはじめとした、すべての生き物の中に似た機能がそなわっています。

46億年前に地球は誕生し、生命が生まれたのは38億年前。生物が急速に多様化したのは5億5千万年前のカンブリア紀と言われているので、かなり昔からすべての生き物が生体リズムを調節する機能を持っていたと推測できるのです。

そしてこれらの時計は、宇宙のリズムと呼応して出来ていったと考えられています。その理由は、天体と体内時計のリズムが酷似しているためです。

例えば一年。これは地球が太陽の周りを一周する期間です。月の満ち欠け(朔望月)の周期が約30日。24時間は地球の自転速度と関係しています。月の満ち潮と引き潮のリズムは、12時間周期です。

証明こそ出来ないものの、宇宙の星々がそれぞれのスピードで軌道し、そのリズムと対話しながら、私たちの体は巡っている。そう考えると自分のからだに対して、壮大さを感じませんか?

(出典元:『眠りと体内時計を科学する』大塚邦明 春秋社『時計遺伝子の正体』NHK「サイエンスZERO」取材班+上田秦己 NHK出版

現代生活の中でからだのリズムを調節するために

 

長い年月をかけて築き上げてきた、わたしたちに備わっている時計。しかし残念ながら、それらの時計は電波時計のようにいつでも正確な時刻を知らせてくれるものではありません。

そう思うと、体内時計のことを不確かなもののように感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、私はむしろ、より高度なサポートをしていると思うのです。

なぜなら、そのときすべき活動、あるいは休養を正しく行い、季節とリズムを調和させると、自分の時間の密度と生産性が上がります。ちまたに出回る時短テクニックよりも、極めて合理的だと思います。

体のリズムを季節と同期させるために、特に春と秋のはじめの頃は重要な時期。なぜなら、“起点”となる日照時間が変わる兆しをみせているからです。

今この時期に、意識的に光に浴びることで、体が秋の準備をすることを促すことができます。暑さの厳しさを思うと、朝日の優しくも清々しい光にふれるといいですね。

太陽の力を借りながら、実りの秋への準備を進めていきましょう。

季節のお便り

○二十四節気:立秋(りっしゅう)

秋の気配が漂いはじめる頃。空の高さ、雲のかたち。蜩の声の大きさ。小さな小さな秋の兆しを探して見てくださいね。

○七十二候:涼風至(すずかぜいたる)

暑さの盛りの中に、ふと涼しい風が吹き渡る頃。エアコンなどない昔の時代は、この涼風が一筋の光のように感じられたのではないでしょうか。

 

参考文献

『七十二候で楽しむ日本の暮らし』広田千悦子 角川ソフィア文庫『二十四節気と七十二候の季節手帖』山下景子 成美堂出版『七十二候のゆうるり歳時記手帖』森乃おと 雷鳥社『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子 光文社知恵の森文庫『ひらがな暦』おーなり由子 新潮社『眠りと体内時計を科学する』大塚邦明 春秋社『時計遺伝子の正体』NHK「サイエンスZERO」取材班+上田秦己 NHK出版『生物時計はなぜリズムを刻むのか』ラッセル・フォスター+レオン・クライツマン 日経BP社