toggle
2020-01-04

のどにやさしい金柑のシロップ煮

花もりは師走に入るとあわただしくなります。

今回で十五回目のお節料理の準備に取りかかるからです。
なますにごまめ、伊達巻に栗きんとん、数の子に煮しめなどトラディショナルな献立を中心に組み立てます。
カマボコと飾りのもの以外は全て手作りで仕込みます。

自分にとってお節料理とは期末テストのような感覚で取り組んでいます。
今年の自分が得たものを新年のお節料理に注ぎ込みます。
ひとつひとつの食材を丁寧に扱いどうやって食材の個性を引き出そうか考えながら仕込みます。

今回お伝えしたいおせちのレシピは金柑のシロップ煮です。
乾燥する年末年始に喉に優しい金柑は重宝します。
スーパーでも見かけますがなかなか食卓に登らないのではないでしょうか。
生で食べた経験がなかったり、調理の仕方が分からなかったり、もっと言えばわざわざ自分で買うような食材ではないと思われている方もいらっしゃるのではないですか。

実は金柑は冬の食卓を華やかにするのにとても適した食材です。

花もりのお節料理の中では特に人気のある一品です。
一度作れば一ヶ月程度保存が出来ますのでぜひ少し多めにお作りください。


まずはヘタを取り皮に包丁を入れます。
この作業をすることで実の酸味や苦味を取り除きやすくなるので丁寧に作業してください。
切れ目の入った金柑は海水程度の塩水に入れて三時間から一晩おいてください。
時間を経てからは塩水ごと下茹でします。
この時に注意しないといけないことは決して沸騰させないことです。
沸騰直前に火を止めてあら熱が取れるまで一時間放置します。
部屋中に金柑の香りがまわると、とてもリラックスできます。

一時間経てば十分間チョロチョロと流水でさらし塩分を取りながら冷まします。
その間にシロップを作ります。
1.5リットルの水に1キログラムの砂糖を入れて火にかけます。
しっかり沸騰して砂糖が溶けたら火を止めます。
金柑の水を抜きシロップを注ぎます。
金柑が被るくらい入れてからは中火にかけゆっくり沸騰させます。
煮たって来れたらオレンジリキュールを加え香りを豊かにします。
弱火で二十分焚いて甘味を含ませたら最後にレモン果汁で甘味を引き締めます。
冷めれば完成です。
少し手間がかかりますが保存が効きますのでぜひ常備菜にしてください。
そのまま召し上がるだけではなく、パウンドケーキを焼くときに入れてください。
シロップにとろみを加えて金柑の葛湯として召し上がってもおいしいです。
寒い朝におすすめです。

さあ花もりの期末テストもそろそろ本番に近づいて来ました。
ストイックな仕込み作業と向き合いますが相変わらず息子は遊び盛りで邪魔ばかりしてきます。
子供に惑わされないように一心不乱に仕事をしようとするのですが、おもむろに近づいてきて
「お父さん、おもちゃで遊びたいのだが。」
「箱から出せないのだが。」
「出してあげてもいいよって言って欲しいのだが。」

困り顔でそんなことを言われたら相手にしないといけなくなり、結局子供のペースに巻き込まれて仕込みはどんどん後回しになります。
この一年は子供とたくさん遊びました。
そのことでまた違う角度から料理と向き合えました。
そんなことも多分今年のお節料理には詰まっていると思います。
蓋を開けた人が笑顔になるようなそんなお節料理を作りたいと思っています。
今年も皆さんお付き合いいただき本当にありがとうございました。
良い歳をお迎えください。

河向直樹

1978年奈良県出身。2005年より「山辺の道 花もり」という喫茶店を奈良県桜井市で夫婦で営んでいます。神話が好きで料理が好き。大神神社にある様々なミステリーを勝手に謎解きしながら日々仕込みをしています。今一番気になっていることはは大神神社の摂社である「神坐日向神社」が北向きに建てられている謎です。三輪はどれだけ住んでも飽きない場所です。

関連記事