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2019-09-15

秋を告げる いちじくの美味しさ

赤信号で車を停車させてふと何気なく道端に目をやると青々した大きな葉に隠れるように赤紫に熟したイチジクが実っていました。
割れそうな程に丸々と実ったその果実は今にも鳥が突っつきに来はしないかとハラハラします。
青信号になり発進してもまだ気がかりです。
私はそれほどまでにイチジクが好きです。
好き嫌いがはっきり別れる食材ですが、全ての果物の中で一番の好物と言う方がいらっしゃることも珍しくない果物です。

特に奈良県では大和郡山市の「片桐イチジク」という名産品があります。
関西では大阪の羽曳野産や京都の城陽産と並ぶ一大産地です。
その美味しさに生産者の直売所には多くの人がイチジクを求め並ぶ光景も大和郡山の風物詩です。

さて私も新鮮なイチジクを手に入れてさっそく調理に取りかかりましょう。

まずはジャムから作ります。
表面を丁寧に洗ったイチジクの皮を剥いて身と皮に分けます。
身は半分に割りバットに並べます。
皮は細かく刻み同量の砂糖と混ぜ合わせ馴染ませておきます。
馴染ませている間に身の方をオーブンでじっくり焼いていきます。
表面に焦げ目が付くまでじっくり焼くと果汁が溢れだし甘い香りが漂います。
生のイチジクにはないこの香ばしい甘い香りを最大に引き出します。

今度は砂糖と馴染ませた皮を鍋で火を入れていきます。中火でトロトロ煮ていくと皮に含まれるペクチンの力で徐々にねっとりしていきます。
この時に温度を上げてしまうとジャムが飛びはねて火傷のおそれがあるので気を付けてください。
木ベラで練るのが少し重くなってきたらフードプロセッサーにかけて滑らかにします。
その後に焼いたときに出た果汁と赤ワインとバルサミコ酢を入れて更に火にかけます。
赤ワインで風味を足しバルサミコ酢でキレを加え果汁で香りを与えます。
10分ほど火を入れアルコールを飛ばしたら焼いた身を加えさっくり混ぜ合わせます。
そのままもう1分火を入れて完成です。

果肉がそのまま混ざったジャムはパンにはもちろんかき氷にもよく合います。
そして意外な使い方としてはアイスコーヒーに入れるとコクが出ているのにマイルドな味になりおすすめです。ポリフェノールも摂取できて一石二鳥ですよ。

では今度は食事としてのイチジクのお料理を紹介します。
何と言っても一番のおすすめは天ぷらです。
皮のまま半分に切ったイチジクにやや固めの天ぷら粉を付けて180℃の油でからっと上げます。

カリカリの衣の中でトロトロのイチジクの食感の良さと衣に閉じ込められた香りが口に入れると一気に放たれます。
そしてこの天ぷらには同量の赤味噌と白味噌と練りゴマを合わせ砂糖で味を整えた胡麻味噌がさらにコクを出しビールはもちろん、意外にもご飯のおかずとしても美味しいです。
是非、次回揚げ物をされる時にレパートリーに加えてみてはいかがですか。
きっとイチジクの天ぷらの話題で持ちきりになることでしょう。

イチジクが美味しくなると古墳からの景色がきれいに見えるのが三輪の初秋です。
沈む夕陽に照らされオレンジに染められた大和の風景を被葬者のわからないホケノ山古墳から望みます。
目の前に広がる21世紀の景色と3世紀に建造された古墳が時の移ろいを感じさせます。
そろそろヒガンバナが三輪の野に咲き出すと嫌がおうにも郷愁を誘います。
イチジクが美味しくなると郷愁を感じる、三輪の秋の入り口はとても美しい日本がありました。

河向直樹

1978年奈良県出身。2005年より「山辺の道 花もり」という喫茶店を奈良県桜井市で夫婦で営んでいます。神話が好きで料理が好き。大神神社にある様々なミステリーを勝手に謎解きしながら日々仕込みをしています。今一番気になっていることはは大神神社の摂社である「神坐日向神社」が北向きに建てられている謎です。三輪はどれだけ住んでも飽きない場所です。

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