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2019-07-24

いつもの素麺が美味しくなる。素麺の起源を辿ろう

白く細く器の中でたなびきたる素麺は云わずと知れた夏の代名詞。

三輪は素麺の名産地です。それでいて発祥の地です。その発祥には歴史的なものと神話的なものがあります。

まずはざっくり歴史的なことで言うと遣唐使にまで遡ります。まだ日本になかった小麦の麺文化を遠く離れた唐から持ち帰ったとされます。手間がかかり貴重で最先端の食べ物は勿論庶民の口には入らずに貴族中心に食されたのでしょう。そして麺文化とともに仏教など様々な文化が大陸より伝わりました。三輪の近くの大和川に仏教伝来の地があることはそのことを物語っています。
やがて太かった小麦の麺は室町時代には現代の素麺と同じような姿になっていたと言われています。

そして三輪に伝わる神話の話では平安時代の初期に大神神社の宮司の「サイクサ(笹百合の意)」には「タネヌシ(穀主)」という次男がいました。名前からわかるようにタネヌシは穀物を育てる名人でした。ある晩にタネヌシの夢の中に三輪のオオモノヌシの神様が現れお告げを託します。

「三輪の地に合った小麦を育て三輪山より流れる川の水で水車を動かし小麦を挽き、三輪のきれいな水で小麦の麺を作り飢饉に備えよ。」

こうして三輪の麺作りが始まりました。令和の世になっても続いていることはオオモノヌシの神をもっても誰も予想できなかったことでしょう。

ちなみにタネヌシにとってオオモノヌシはご先祖様に当たります。


三輪素麺、伊勢うどん、出雲蕎麦。

大きく歴史のある神社にはそれぞれ独特の麺文化があります。神社と麺のつながりは偶然なのか必然なのかは定かではありませんが大きなロマンを感じるので調べてみたいと思っています。
今のところまだ謎ですが確かなことはいずれの麺も美味しいということだけは分かっています。

そして美味しい三輪素麺の見分けるポイントはずばり細さです。素麺の美味しさと細さはほぼ比例します。
うどんと違い切って細くするのではなく引っ張って伸ばす素麺は良い小麦と油を使わなければ途中でちぎれてしまい細くすることは出来ません。つまり細ければ細いほど良い材料を使っている証となります。

茹でるポイントは長くても一分半以内でザルにあげることです。しっかり流水でもみ洗いした後は水や氷にはあてずに盛り付けます。素麺が水分を吸い込んで伸びやすくなってしまいます。

めんつゆに加えるアクセントに香りオイルはいかがですか。瓶に昆布やかつお節、唐辛子やお好みのスパイスを入れお好きなオイルを注ぎます。オリーブオイルに米油、ゴマ油にグレープシードオイルなど何でも結構です。常温で何日か寝かせたらオイルに香りが移り完成です。
旨味をふんだんに含んだオイルは食欲を増進させてくれます。

毎年二月に大神神社では素麺の出来や価格を占う卜定祭という祭が執り行われます。白い毛糸を素麺に見立てて素麺作りの工程を再現しながら踊る祭です。三輪素麺とはこのように神社と神様と町の人が一体となって千年以上の歴史を守ってきました。

何となく食べ終わってしまうお素麺ですが、今度召し上がる時は三輪の神様の神話と歴史のロマンを感じて飲み込んでみてください。目を閉じて三輪山が浮かんだ方はきっと今までより美味しく感じることができますよ。

 

お素麺で今年の暑い夏を乗り切りましょう。

三輪山の麓より暑中お見舞い申し上げます。

河向直樹

1978年奈良県出身。2005年より「山辺の道 花もり」という喫茶店を奈良県桜井市で夫婦で営んでいます。神話が好きで料理が好き。大神神社にある様々なミステリーを勝手に謎解きしながら日々仕込みをしています。今一番気になっていることはは大神神社の摂社である「神坐日向神社」が北向きに建てられている謎です。三輪はどれだけ住んでも飽きない場所です。

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