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2019-04-24

本格出汁の取り方~インスタントでいいんです~

三輪の春の野にレンゲの花が覆うようになると最高気温は20℃あたりになります。
花粉の峠を越えて家にいることが勿体なく感じる季節の到来です。
桜は散りましたが日なたにはツツジが咲きだし、日陰にも白く美しいシャガの花が咲き、ウグイスやオナガの鳴き声はまるで外に出ておいでと誘われているかのよう。

一秒でも早く家を出たい子供をなだめて奥さんと二人で手分けしてお弁当を作ります。
みんなでお出掛けのお弁当には凝った料理は相応しくありません。おにぎり、唐揚げ、ウインナーに玉子焼きがあれば十分です。

出汁がたっぷりの玉子焼きって美味しいですね。
でも出汁を取るのは難しそう、時間がかかって間に合わないと思っていませんか?

料理を仕事にして二十年を越えた私が自信を持って言えることは
「和食の出汁ほどインスタントなスープはない。」と言うことです。

プロのだし巻き玉子でも使う出汁の量は90ccです。この90ccの為に昆布を水に浸してから火にかけ、沸騰寸前に昆布を取り出し、火を止めてからかつお節を入れ、静かにキッチンペーパーで濾してから冷ます。

こんなことをする必要は全くありません。
どこの家庭にもあるようなパックのかつお節と塩昆布にポットのお湯を必要なだけ注ぎます。


その間に卵を3個割りほぐし、かつお節と塩昆布を茶漉しでさっと濾します。

卵のたんぱく質の凝固し始めるのは大体60度です。70度台になった出汁と卵を混ぜ合わせても火が入ることはありません。

むしろ、しっかり冷えた出汁と卵で玉子焼きを作ろうとするとせっかく温めたフライパンの表面の温度が下がってしまい失敗の原因になりやすいです。

そして出汁は取ってからどんどん旨味が減っていくので、取り立ての出汁を卵で閉じ込めるのが美味しい玉子焼きを作るコツになります。

出汁と卵を合わせて少しの醤油を入れるだけで驚くほど美味しい玉子焼きが出来るんです。

同じ手順で取った出汁で具の入っていない茶碗蒸しを作ってみてください。ほんのり温かい茶碗蒸しの出汁は温度の高い表面と熱の伝わりにくい中心部分の温度差が少ないので失敗する確率が少ないです。

ちなみに茶碗蒸しは卵1個に対して180ccから200㏄の出汁を入れて少しの味醂と醤油を足します。それを二個か三個の容器に分けて蓋かラップをして強火で6分蒸して火を止めて6分くらいで完成です。

洋食も中華も何時間もかけてスープを取ります。それに比べてこの方法だと2分もあれば取れてしまいます。
方法はインスタントですが味はインスタントではありません。

和食は苦手、カツオと昆布から出汁を取るのはめんどくさいと思う方は是非試してください。
お吸い物もお椀に塩昆布とかつお節と醤油に豆腐でもホウレン草でもお好きな具を入れてお湯を注ぐだけでとても美味しいです。

お吸い物の方が味噌汁よりもハードルが高いという価値が逆転します。旨味成分は脳の栄養になるので頭を使う前と後に摂ることをオススメします。

美味しいお出汁の玉子焼きのお弁当が出来上がったらみんなでどんな遠くに出掛けましょうか。

みんなで歌を歌いながらドライブに行きましょうか。
車窓の景色を眺めながら子供が大好きな電車に乗りましょうか。

でもやっぱり今日は近くの森でお弁当箱を広げて、全部食べたらみんなでお昼寝しましょう。

みんなで食べるお弁当があれば何故かその日は特別な日になります。

のんびりのんびり眠たくなってきました。

河向直樹

1978年奈良県出身。2005年より「山辺の道 花もり」という喫茶店を奈良県桜井市で夫婦で営んでいます。神話が好きで料理が好き。大神神社にある様々なミステリーを勝手に謎解きしながら日々仕込みをしています。今一番気になっていることはは大神神社の摂社である「神坐日向神社」が北向きに建てられている謎です。三輪はどれだけ住んでも飽きない場所です。

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